2005年12月07日

監査についての真面目な話

姉歯建築士による耐震強度偽装問題、なんか粉飾事件の話に構造が似てるなぁと思ってたら、最近見つけた気になるブログビジネス法務の部屋に、気になるエントリがありました。
12/5 監査法人のランク付けは可能か? と
12/6 監査法人ランク付けと弁護士専門認定制度 です。

国が48検査機関を格付け、問題審査は全棟検査実施へ(読売ニュース)
という記事から会計士監査のシステムについての問題提起として監査法人のランク付けを提案されています(12/5分)。そして、それについてのコメントに対し、では監査の信頼性はどこで担保されるのか?といった問題提起をされています。

それでは「監査の監査」というものの効果は結局のところ、何者によって品質が評価されるのでしょうか。「資格保有者による会計監査人の審査は間違いない」といった信頼の基礎と同じレベルの基礎のうえに成り立つのでしょうか。それでは「儀式」と揶揄されてもいたしかたない、ということなのでしょうか。(12/6のエントリより引用)


今日は(いつもと違って真面目に)この問題について考えてみました。

現状、個々の監査業務について監査法人が品質管理を行い(ここまでは内部の審査)、監査法人の「品質管理体制」を会計士協会がレビューし、その「レビュー」を公認会計士・監査審査会がモニタリングする。という制度になっています。
これはまだ新しい制度ですので、その実効性はこれから検証…ということになるのでしょうが、個々の監査意見に対しての監督ではなく、体制・システムの監督です。(ここまでは多分あってるはず…)

以下、個人的な意見です。

「監査の監査」というのはどこまで行っても連鎖が終わりません。誰が言ったら正しいか?誰の言葉なら信じられるか?という部分で終わりがないからです。連鎖が続くほど、責任が曖昧になる可能性もあります。
「監査の監査」を国が行うとして、特に個々の監査意見に対して国が関与した場合、意見が食い違ったらどうするのか?その責任は誰が取るのか?というのは非常に大きな問題です。

財務諸表は相対的な性格が強いといわれます。監査人の保証水準は一定であることが求められますが、将来事象や経営者の判断が含まれる以上、絶対の判断というものは存在しません。当然、国と監査法人で意見の食い違う場面は容易に想定されます。
また、最終的に国が責任を取るといった場合にはモラルハザード(国はつぶれない、公務員は解雇されない…といった意識の元でどれだけ実効性ある監督ができるのか)の恐れがあり、その手前でいかに止めるかという問題がより重要であると考えています。

現状では監査の信頼性の拠りどころは「責任の重さ」にあると思いますし、その方向性は間違っていないと思います。監督官庁はありますが、最終責任は基本的に監査法人(or会計士)が負っており、その責任を果たす形で意見が表明されます。
監査人の負う社会的責任は重大ですが、その担保として行政責任、刑事責任、民事責任が定められており、それぞれ非常に(非情にといっていいぐらい)重大な責任です。(報酬から考えて割に合わないぐらいです)

そこで、監査の信頼性を増すためには、投資家等がいかに責任追求しやすい制度にするか、監査法人で負担しきれない責任を果たす基金のようなものの必要はないのかといった方向で議論すべきであると考えています。
例えば1人の会計士が不正をするだけで業界1・2を争う大手の監査法人が崩壊の危機に瀕するような現在の制度の下では行政処分にためらいが出ても不思議ではありません(もちろん実際にためらっているかどうかを私は知りませんし、不正が行われたかどうかも知りません)。
同時に、責任の重さに対して報酬が低いこと、それにより人材が流出する恐れがあることをもう少し考える必要があると思います。
これは投資家がどのポイントで財務諸表の信頼性と監査コストのバランスを取ろうとするかということに尽きます。信頼性は絶対、コストはかけたくない。というのは無理な相談です。(現状ではそれに近いと思いますが。)日本では性善説に基づいて安くシステムを作ろうとする傾向が強いと思いますが、果たしてそれでいいのかどうか?監査サービスの消費者である投資家(もしくは国民)以外にそれを決められる人はいないと思います。

監査法人で働く身としてはもっと監査コストをかけて頂けるとありがたいのですが…。
posted by L2 at 01:35| 大阪 ☀| Comment(1) | TrackBack(1) | 勉強 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ご紹介いただき、ありがとうございました。
私はブログでも常々「これから20年は会計の時代」と申し上げておりますが、裏を返せば、会計士さんも事後規制の波にさらされる時代になろうかと思っております。行政責任だけでなく、企業や株主からの民事責任追及の矢面に立つことで、いやおうなしに責任の重大さに直面するでしょうし、裁量の幅というものも議論の対象になってくるものと予想しております。
一部の人のために、すべてのまじめな会計士さんの信用が失われないよう、多種多様な広報活動も必要になってくるのではないでしょうか。これは弁護士にも言えることかもしれません。
また、遊びに来てください。(大阪の方なんですね)
Posted by toshi at 2005年12月08日 02:15
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